父のこと~その13~

2018年8月9日

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※別ブログから記事を移動しました。 2011年のことで、覚書として載せておきます。

父の最期を見送ってから
主治医と、看護婦さんは部屋を出て行きました。

家族の悲しみの時間を作ってくれていたのかな?と
今考えるとそう思えました。

私は泣きながら、ベッドを窓側に移動させます。
広い窓。そのままベッドを外に出せるくらいの窓。
父は外に出たがっていた。

前日の雨とはうってかわって晴天だった。
青空に、海が見える病室。

「父さん、外だよ?風入る?ほら、風!!」

「ほら、ウーロン茶!さっぱりするよね?」

唇にウーロン茶をたらします。

でも・・反応があるはずもありません。

その間に、姉が親戚達を呼びます。
父の妹さん・・・5人兄妹で、妹さん一人になっちゃった・・
私はその人達に

「ごめんなさい、ごめんなさい、私が転院させて
しまったばかりに、早くに死なせてしまった!」

妹さんは「そんなこと無いよ。」と父の顔をみて
泣いていました。

私があまりにも父にすがりついて泣くものだから
親戚の一人が

「死人に涙をつけると成仏できないって言うけどね・・」

と言っていましたが、私は「悲しいときに泣いて何が悪い!」
と、聞き流しました。
ごめんなさい、私迷信とか信じない。

父が亡くなった時くらい、泣かせてちょうだい。

主治医と、看護師さんがやってきました。

瞳孔を見て、時計を見て・・「○時○分・・」(なんて言ったか忘れた)

死亡宣告をしました。
あれ?息を引き取った時間じゃないのね?

またしても号泣する私に主治医が「過呼吸起こすかも・・」と
看護師さんが「はい、ふー・・、ふー・・、」と、呼吸を整えるように
そばに付いてくれていました。

号泣しすぎて頭はフラフラ、手足がしびれていました。

主治医外へ出て行きます。

看護師さんは、
「お家に帰るとき、普段着ていた服でも持ってきて
いただければ、着替えさせますので」と、言ってくださいました。

父は暑がっていて、病院でのガウンを着ておらず、
上半身は前あきシャツの、おむつ姿でした。

酸素吸入もはずし・・点滴もはずします。

やっと自由になれたのは死んでからなんてーーー。

黄疸で全身黄色い体。

朝見た、ふとももあたりにある網目模様もはっきりと・・。

・・とはいえ、姉しか取りに帰る人はおらず・・
病院で浴衣を着せることもできるとのことで、
浴衣(多分購入なんだろうな?)を着せることにしました。

しかし・・私はあきらめられないことがあった。

父さんをお風呂に入れること!!
あれだけ父は「風呂にいく」と何度も何度も繰り返していたから。

本来、死んだ人をお風呂に入れることはまずありません。
さらに今日はお風呂の日ではない。

「お願いします!父さんをお風呂に入れてあげたいんです!」

看護師さんに頼むと・・・

「わかりました。今からご用意いたしますので、お待ち下さい。」

今度は感動の涙でずっと泣いていました。

やった!これで念願かなった!!

父をお風呂に入れるために、ストレッチャーに乗せ
私、母、姉でお風呂場に移動しました。